毎食礼賛、美味探訪

フランスの人たちは、毎食を大事にする印象があります。


(以下、フランス南西部での経験に基づく)

朝食は各人決まったものを毎食摂るらしく(そして、朝はあまり食べない)。ある家では豆乳チョコレート飲料が欠かせなかったり、必ずオートミールが常備してあったりします(多分)。朝からカツでも寿司でもなんでも食べられる私は、「朝食こそゴールデンタイム!最上の食事!」と思う派なので、この辺りで若干の溝を感じつつ。


そんなシンプルでルーチンな朝食に対し、家族やお客様を招いて昼食と夕食は、とても丁寧。

まず、可能な限り、アペリティフに時間を費やします。

アペリティフとは、食前にスナックと食前酒を嗜みつつ、延々と会話すること(私の認識)。その場によって変わってくると思うのですが、政治の話とか結構する模様。昨夜お呼ばれしたアペリティフでは、日仏ペラーな方がいらっしゃったので、久しぶりの日本語!日本トーク!

その際のおつまみスナックは、プチトマト(マヨネーズ必須)、オリーブ、サラミ、アーモンド、あとはお手軽にスナック菓子など。食前酒は各人お好みのもの。フロックマ氏のご実家には、冷蔵庫型のワイナリーがあり、中はパラダイスか!という品揃え。品揃えが実際どのくらいの価値なのかはわからないものの、「やばい、ココンチ富裕層なのかしら?」と銘柄とか全然わからない私が思うくらい。そして私は勧められた酒は断らない!をモットーにありがたくいただきました。

結構アペリティフ長いよ?長いんですよ。もう私的にはここでお腹いっぱいかも、と思うことも多々あるのですが、アペリティフは大事なコミュニケーションの時間。それが終わって、ようやく前菜のサラダ等、次にメイン、食後にチーズ盛り合わせ、もしくはヨーグルトなどを使ったデザートのコース。または、チーズのあとにデザートというコースで、ゆっくり食べて、たくさんしゃべる。慣れてないといつ食べていいかわからないけども。


ちなみに。

☆前菜やメインは大皿で出てきて、各人の取り皿に取って食べるのが基本。場合によっては、各人の皿に盛り付けることもありますが、取り分け方式が多いかも。

☆パンは食卓の必須要因。大抵テーブルに直置き。皿に残ったソースを拭き取り食べたり、チーズとともに食べるもの。

☆鳥の丸焼きは、食卓に出る前に食べやすいように解体。なんとパリパリでものすご美味しい皮は残すのです。私は皮が美味しすぎて、数回食べ尽くしてしまい、最後に皆様残しているのを発見して居た堪れなくなりました。※最近、皮も美味しくいただく人を発見して、こっそり仲間意識を持っている私。


と、こんな丁寧なご飯タイムに比べて、私の日本での夕食は、大抵メインがどどんときて、あっついうちにかっ込んで、「はぁたべおわった」と思うと食器を片付ける……コレ、もう牛丼屋スタイル。ファーストフードですな。

一人の食事ならみんなこうなのかもしれないけど。コンビニのキャベツの千切り、袋をポテチ開けして直にドレッシングかけて食らってましたけど。通勤時間が長いので車の中でりんごまるかじってましたけど。冬は反射板ストーブであったまりながらパン焼いたり、ソーセージ焼いたりしてましたけど。男の一人暮らしでももっとちゃんとしてそう。もう、これ、山小屋飯かもしれない。

そりゃあ確かにフランス人からしたら、呆気ないし物足りなかっただろうなと。「飯があっという間に終わって、デザートがなかった……」と恐ろしい出来事を語る表情で日本でのうちの晩御飯を懐古するのは、友人フロックマ氏。

確かに、きみんちでご飯食べた今の私は、食事に対して食べるということしか考えてなかったと振り返るしかないよ。そもそも未だに私は、食後にデザート食べる習慣ないですし。たらふく食べた後に「デザートどうする?」とか言われると時々は「いえ、ノンメルシー」と、つぶやきます。でもまたこのデザートが美味しいんです!!

こうして、生きなきゃいけないから食べる人間から、食べることが楽しみな人間へと作り変えられてゆく……

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